軽自動車といえば、スズキを真っ先に思い受かべる方も多いのではないでしょうか?
そのスズキの中で、名機と呼ばれているエンジンがあります。それがK6A型エンジンです。
軽スポーツカーのカプチーノに搭載されていたことでも有名ですね。
スズキ カプチーノ
軽FRオープンスポーツと言う独自の立ち位置の車。ケータハムセブンがキャラを被せに来てる気もするが、実用性はこちらが上。途中でエンジンがF型からK型に変更されている。峠の下りは敵無しとか言う人も pic.twitter.com/ZexvVDTnGL— 好き勝手に車を語るアカウント (@talking_car) August 30, 2019
またケータハム・SEVEN160にもこのK6A型エンジンは搭載されており、軽自動車ながらも国内の自主規制値を超える80馬力を発生させています。
そのためK6A型エンジンは、カスタムすることで64馬力以上も狙える高いポテンシャルを秘めたエンジンということになります。
もちろんK6A型エンジンの前モデル、F6A型エンジンもかなり優秀なエンジンでこちらも名機という方もいますよね。
そこでこの記事ではK6A型エンジンについて深堀りしていくだけでなく、F6A型エンジンとの比較も行いながらご紹介していきます。
具体的な流れとしては、この記事の前半でK6A型エンジンについてや、F6A型エンジンとの比較を行い、
後半でK6A型エンジンのチューニング方法をご紹介していきます。
この記事はK6A型エンジンについて知りたい方や速い軽自動車を求めている方には読んで頂きたい内容となっておりますので、ぜひご一読くださいね。
Contents
そもそも名機K6A型エンジンとは?
スズキのK6A型エンジンは、1994年に登場したK型エンジンの1つです。
このK6A型エンジンは、一般的な軽自動車だけでなくスポーツ志向の強いカプチーノやアルトワークス、クロカン車のジムニーなど幅広い車種に搭載されていました。
※↓の動画はスズキ・カプチーノの動画です。
軽自動車とは思えないドコドコというマフラー音の動画となっておりますので音量注意です!
ちなみにK6A型エンジンには軽自動車初の直噴式インタークーラーターボも存在していました。
ここでK6A型エンジンの基本的なスペックを簡単にご紹介すると下記になります。
エンジンのタイプ | 水冷直列3気筒 DOHC 12バルブ VVTモデル | 水冷直列3気筒 DOHC 12バルブ インタークーラーターボ VVTモデル |
---|---|---|
排気量 | 658cc | |
内径×行程 | 68.0mm×60.4mm | |
最高出力 | 40kW (54PS) /6,500rpm | 47kW(64 PS)/6,500rpm |
最大トルク | 63N・m(6.4kg・m)/3,500rpm | 108N・m(11.0kg・m)/3,500rpm |
ではK6A型エンジンも含めたK型エンジンについてここからさらに下記の順番で深掘りしていきます。
- K型エンジンの概要
- K型エンジンの種類
K型エンジンの概要
このK型エンジンは前モデルのF型エンジンの領域をそのまま引き継いてでいる後継エンジンです。
そのため軽自動車だけでなく、スイフトやソリオなどのコンタクトカーにも搭載されており、スズキの主力エンジンということになります。
そしてこのK型エンジンの特徴なのですが、ざっくりと次の3点があげられます。
- すべてDOHC方式を採用しており、吸気2バルブ・排気2バルブの4バルブを採用している点。
- 10万kmごとに交換するタイミングベルト方式ではなく、30万kmまでメンテナンスフリーと言われているタイミングチェーン方式が用いられている点。
- K型エンジンの設計はアルミニウム合金ダイキャストを採用したものとなっており、F型エンジンに比べて軽量化に成功している点。
また2019年現在ではK型エンジンの後継モデルとしてR型エンジンが生産されているため、
F型エンジン→K型エンジン→R型エンジン
の流れでスズキのエンジンは進化を遂げているのです。
ただK型エンジンの中でも名機と呼ばれるK6A型エンジンは、2018年にモデルチェンジした新型ジムニーの登場によってスズキの国内ラインナップから姿を消してしまいました。
一方でその他のK型エンジン(K12CやK15Bなど)はまだまだ生産を続けています。
さらに先程ご紹介したように、K型エンジン(K6A型)はスズキのクルマだけでなく、ケータハム「SEVEN160」にも提供されており、こちらは国内の自主規制値を超える80馬力を発揮。
#今日の鈴菌
ケータハム セブン160
軽自動車史上最強の性能を誇る趣味人向け軽自動車
積載製皆無という重大な欠点は競合相手が2輪車であることを物語る
490キロの超軽量な車重に対し80馬力の鈴菌製原動機を搭載し、パワーウェイトレシオは僅か6弱という並みのスポーツカーが逃げ出す数字を叩き出す pic.twitter.com/WeOtMBwFod— チープマン@鈴菌.com.GS125 (@gn125suzukin) September 8, 2018
※ケータハムは国内の自動車メーカーではないため、軽自動車の64馬力自主規制を受けず、2019年現在軽自動車で唯一上限64馬力に縛られない車種となっています。
K型エンジンの高いポテンシャルと信頼性が垣間見える事例ですね。
K型エンジンの種類
K型エンジンには、名機と呼ばれるK6A型エンジンだけでなく以下のようなラインナップがあります。
- K10A
- K10B
- K10C
- K12B
- K12C
- K14B
- K14C
- K15B
それぞれの数字はおおよその排気量を表しており、さらに細かくご紹介すると下の表のようになります。
エンジンの型式 | K10A | K10B (日本国外専用モデル 2019年現在) |
K10C | K12B | K12C | K14B (日本国外専用モデル 2019年現在) |
K14C | K15B |
日本国内での生産期間 | 1997年~2003年 | 2008年~現在 | 2014年~現在 | 2007年~現在 | 2015年~現在 | 2010年~現在 | 2015年~現在 | 2018年~現在 |
排気量 | 996cc | 996cc | 996cc | 1,242cc | 1,242cc | 1,372cc | 1,371cc | 1,460cc |
シリンダー数 | 4 | 3 | 3 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 |
内径×行程(単位:mm) | 68.0×68.6 | 73.0×79.4 | 73.0×79.4 | 73.0×74.2 | 73.0×74.2 | 73.0×82.0 | 73.0×81.9 | 74.0×84.9 |
最高出力:NA仕様 ターボ仕様 |
51kW(70PS)/7,000rpm VVT 74kW(100PS)/6,500rpm |
50kW(68PS)/6,000rpm VVT ターボモデル設定無し |
50kW(68PS)/6,000rpm デュアルジェット 82kW(111PS)/5,500rpm |
67kW(91PS)/6,000rpm デュアルジェット ターボモデル設定無し |
67kW(91PS)/6,000rpm デュアルジェット ターボモデル設定無し |
70kW(95PS)/6,000rpm VVT ターボモデル設定無し |
NAモデル設定無し 103kW(140PS)/5,500rpm ブースタージェット |
75kW(102 PS)/6,000rpm VVT |
最大トルク:NA仕様 ターボ仕様 |
88Nm(9.0kg·m)/3,500rpm VVT 118Nm(12.0kg·m)/4,000rpm |
90Nm(9.2kg·m)/4,800rpm VVT ターボモデル設定無し |
90Nm(9.2kg·m)/4,800rpm デュアルジェット 160Nm(16.3kg·m)/1,500 – 4,000rpm |
118Nm(12.0kg·m)/4,400rpm デュアルジェット ターボモデル設定無し |
118Nm(12.0kg·m)/4,400rpm デュアルジェット ターボモデル設定無し |
130Nm(13.2kg·m)/4,000rpm VVT ターボモデル設定無し |
NAモデル設定無し 230Nm(23.4kg·m)/2,500 – 3,500rpm ブースタージェット |
130Nm(13.3 kg·m)/4,000rpm VVT |
搭載車種 | ワゴンRワイド | スプラッシュ | セレリオ(NA)、バレーノ、スイフト、クロスビー | スイフト(2代目) | ソリオ/ソリオバンディット(3代目) | スイフト | エスクード(4代目) | エルティガ(2代目)、ジムニーシエラ(3代目) |
※最高出力・最大トルクは、そのエンジンの最高値を記述しています。
それでは次に名機K6A型エンジンとF6A型エンジンの違いについて探っていきましょう。
名機K6A型とF6A型の違いについて
ではここからK6A型エンジンとF6A型エンジンの違いについて、ご紹介していきますね。
先にざっくりと違いについてご紹介すると、次のようになります。
- F6A型エンジンは、鋳鉄製で重いが耐久性と強度がある
- K6A型エンジンは、アルミニウム合金製で軽量なエンジンのため、F6A型エンジンよりは耐久性・強度では劣る
- F6A型エンジンはタイミングベルト、K6A型エンジンはタイミングチェーン
そもそもF型エンジンは鋳鉄製シリンダーブロックでできており、モータースポーツでの使用も想定されていたため、強度と耐久性に優れたエンジンでした。
つまりタービンを大きくしブーストをかけて馬力を上げる過激なカスタムにも耐えうるエンジンだったのです。
なかには下の動画のように200馬力までパワーを上げる強者までいるようですね。
※こちらは200馬力のカプチーノ同士が本気でバトルしている動画です。音量注意!
一方でK型エンジンは、すべてがアルミニウム合金化されており、F型エンジンに比べて軽量な造り。
そのためF6A型エンジンに比べてK6A型エンジンは耐久性や強度で劣ってしまう部分があります。
もちろんある程度の耐久性・強度は保証されていますし、K6A型エンジンを搭載したケータハム・SEVEN160では80馬力を発揮するほどのポテンシャルも持っています。
またK6A型エンジンは、30万kmまでメンテナンスフリーと言われているタイミングチェーンを採用。
ただタイミングベルトよりもエンジンオイルの交換はシビアとなり、3,000km毎に1回の交換が推奨されている点は注意が必要ですね。
K6A型エンジンのチューニングをご紹介
ここからはK6A型エンジンのチューニング方法をご紹介していきますね。
先にざっくりとここでご紹介するチューニング方法をまとめると下記になります。
- イグニッションレジスタの交換
- ブーストアップ
- 給排気系のカスタム(エアクリーナー・マフラー)
- ECUの書き換え
- 【上級編】エンジン内部のカスタム
ちなみにK6A型エンジンをフルチューンすると下の動画のような車を創ることも可能です。
↓の動画はフルチューンされたHA22Sのアルトワークスの0-180km/h加速動画です。
音量注意!
イグニッションレジスタの交換
1番お手軽にできるカスタムがイグニッションレジスタの交換というカスタムです。
ご存知の方は少ないかもしれませんが、これはエンジンの点火時期を調節する装置を変更するカスタムで、スズキの純正パーツを利用して行います。
費用は500円程度で済んでしまうという驚きのカスタムです。
もちろんエンジンのパワーが劇的に高まるわけではありませんが、レスポンスの向上やトルクの向上を体感できる方もいるほどですので、試す価値は大いにあると言えますね。
そろそろレギュラーからハイオクに入れ替わったと思うので アルトのイグニッションレジスタを9番から11番に変更(o’∀’)y pic.twitter.com/kunSzQQ3qD
— コーヤ (@comks0403) August 16, 2018
ちなみにイグニッションレジスタには番号があり、大きい数字になるほど点火時期が早まります。
またイグニッションコイルも同時に変更し、ハイオク仕様にすることも可能です。
ブーストアップ
K6A型エンジンのターボであれば、1番パワーアップが期待できるのはブーストアップになりますね。
K6Aのほぼノーマルのデーターwwwww
76馬力wwwww
リミッター解除しただけでブーストアップもしてない、マフラーもノーマルでこの数値wwwww
K6Aエンジンは最高なエンジンだと思います。 pic.twitter.com/pIffuzKCXM
— シバけん(ケンちゃん) (@ken1205_EK9) October 28, 2016
K6A型のターボエンジンでケータハム・SEVEN160に搭載されているエンジンは80馬力ですので、このくらいであればエンジンの耐久性や強度的にも問題無い範囲と言えるでしょう。
中には100馬力以上の過激なカスタムをしている方もいますので、どこまでパワーを上げるのかは、ご自身の車の乗り方と相談しながらカスタムをしていきましょう。
色々派生して、現行車両にも系列エンジンが使用されてる、660ccで最高なエンジンと思ってるK6Aです。
因みにエンジンはフルノーマルで、吸排気系変えてちょっとブーストアップしてるだけですね。
10万キロ超えても絶好調!! pic.twitter.com/jkjennuI44— 悪魔工房主宰@バイク馬鹿【☆3:Rider(QQAAB)】 (@demon_666_666) April 11, 2019
もちろん馬力を上げれば上げただけ、エンジンの寿命は縮まっていきます。
さらに燃費も悪くなりますので、この点は割り切ってカスタムする必要がありますね。
給排気系のカスタム(エアクリーナー・マフラー)
ターボエンジンだけでなく、NAエンジンでもパワーアップが期待できるのが、
- エアクリーナーの交換
- マフラーの交換
になります。
ただターボ・NAのどちらのエンジンタイプであっても、エアクリーナーとマフラーをただ交換するだけではパワーアップの効果は薄いでしょう。
特にNAエンジンであれば、マフラーの抜けがよくなると排圧が下がり、パワーの低下を引き起こす危険性もあるのです。
5ZIGENのW出しマフラー良かった。JB23の8型以降でも車検対応のくせにかなりK6Aっぽさが出た良いマフラーだった。 pic.twitter.com/LxacpxMzBd
— ろーぜん (@Rozen1stdoll) May 11, 2019
そのため吸気・排気系のカスタムを行う場合は、同時にECUの書き換えや現車合わせを行いエンジンのバランスを整えるようにしましょう。
ECUの書き換え
先程も簡単にご紹介いたしましたが、ECUの書き換えもパワーアップに効果があり、
ECUの書き換えだけでなく、エアクリやマフラー、タービン交換と同時に行うとかなりのパワーアップが期待できるのです。
LINK-ECU装着のJB23リセッティング(^^)アイドリングやエアコン使用時も自然で社外ECUで制御しているのを忘れてしまう位に滑らかで、一発踏んだらホイールスピンする程に溢れる加速力(* ゚∀゚)K6Aって最高だね。 pic.twitter.com/WoTnk6UkL9
— 横ヒレ (@rainbow_auto) June 28, 2019
さらにECUの書き換えを現車合わせで行うことで、むやみやたらなパワーアップではなく乗りやすい車作りも可能になってきます。
実際にK型エンジンのECUキットであれば、
などの企業から書き換えキットが発売されていますね。
【上級編】エンジン内部のカスタム
ここからは上級者やハードなセッティングをしたい方向けのカスタムになります。
ハードなセッティングとしては、ターボでブーストをガンガンかけて、エンジンからパワーを絞り出すようなカスタムです。
このようなカスタムの内容は、エンジン内部のパーツを替えてエンジン強度を高め、高いブースト圧にも耐えられるようにするカスタムとなります。
具体的には、エンジン内部のパーツをメタルガスケットや鋳造ピストンに変更する方法です。
もちろんエンジン内部のパーツを変更するため、一度エンジンを車からおろしたり、エンジンをバラしたりします。
そのためカスタム費用が高額になる可能性が高く、費用に見合ったパワーアップが期待できるのかは状況に変わってきます。
一方でレースやイベントなどでどうしても高出力化をしなければならないような時には、エンジン内部まで手を入れる必要があるかもしれませんね。
まとめ|スズキの名機K6A型エンジンに乗るなら今がチャンス
ここまででK6A型エンジンについて、F6A型エンジンとの違い、チューニング方法などについてご紹介してきました。
2018年にはスズキ・ジムニーのモデルチェンジに伴い、K6A型エンジン搭載車はスズキの国内ラインナップから姿を消すかたちとなり、
2019年現在ではもうK6A型エンジンの製造はかなり少なくなってきております。
さらにスズキの国内ラインナップからK6A型エンジン搭載車種が無くなったことによって、今後は徐々にK6A型エンジン搭載車、特にターボ車の中古車価格は上がる可能性が考えられます。
一方でK6A型エンジンは、1994年から製造されているエンジンのため、チューニングのノウハウは成熟されているといっても過言ではありません。
つまりK6A型エンジンが安く手に入る現在で、かつチューニングのノウハウも蓄積されている今がスズキの名機「K6A型エンジン」搭載車を購入するチャンスと言えますね。
ぜひこの機会に一度K6A型エンジン搭載車を試乗してみてはいかがでしょうか?