自動車に乗るうえで切っては切れない関係が「自動車保険」です。
自動車保険には「強制保険(自賠責)」と「任意保険」の2種類があります。
世間一般的に自動車保険は任意保険のことを指します。
任意保険とは文字通り”任意に加入する保険”です。
任意とは言われていますが、その加入率はおよそ90%に達する勢いです。
そんな自動車保険ですが、もしもの時に使うためとはいえ内容によっては高額になりがちです。
たとえ車両価格が安くて日常の足となっている軽自動車でさえも負担になるかと思います。
そこで今回は、軽自動車の保険相場と保険の仕組みを解説するともに、車両保険を安くするための方法をプロ目線でご紹介します。
Contents
自動車保険の料金の仕組みについてチェック

それでは自動車保険の料金はどのようになっていくのかチェックしていきましょう。
この背景をしっかりと確認することで保険料がどのように決まっていくのかがわかっていくはずです。
自動車保険は保険料が細分化される
まずはじめは自動車保険の料金がどのようになっていくのかを確認していきましょう。
自動車保険は、大きく分けて4つの項目に分類することができます。
その項目は
- 事故の相手(人)に対する補償:対人賠償
- 事故の相手(物)に対する補償:対物賠償
- 自身の車に乗っている人に対する補償:搭乗者傷害
- 自身の車に対する補償:車両
です。
これらの項目に対する保険内容に応じて保険料が決定され、その4項目の合計金額が毎月(毎年)の保険料となります。
ところで
「対人・対物無制限、人身(搭乗者)傷害5,000万円」
といった言葉を聞いたことがあるかと思います。
実はこの言葉自身が
「対人保険→無制限の補償」
「対物保険→無制限の補償」
「人身傷害(搭乗者傷害)→最大5,000万円の補償」
といった保険の内容になっているのです。
車種(型式)ごとに料金が設定される
これを知っている人は知らないかと思いますが、自動車保険は保険の対象となる車によって料金が変わります。
「スポーツカーは保険料が高い」など聞いたことがある人も多いかと思います。
自動車保険は”同一モデルの車種”ごとにそれぞれ異なる保険料が設定されているのです。
例えるなら、2018年の1年間で最も売れた車である日産ノートの場合、
- e-POWER搭載車(車両型式:HE12)
- ガソリン車(車両型式:E12)
- 先代モデル(車両型式:E11)
といったような感じに同じ車種であっても保険料が違ったりする場合があるのです。
保険料は毎年1回改訂される
自動車保険の保険料が車種(型式)ごとに設定されていますが、その保険料は毎年1回改訂されています。
保険料は「料率クラス」と呼ばれるクラス分けがされており、対人・対物・搭乗者・車両の各項目の料金体系が9段階に分かれます。
料率クラスは5を基準とし、1に近づくほど料金が安くなり9に近づくにつれて料金が高くなります。
簡単に言うと、
料率クラスの数値の高さは危険性の高さ
です。
保険料を支払う可能性が高い(事故が多い)車は保険料が高い、ということですね。
ちなみにこの料率クラスは、「ある基準」を元に算出されます。
その基準は後述しますが、毎年自動車保険の更新をする際に
「等級が上がって保険料が下がるはずなのにそれほど変わらない、むしろ上がった」
という経験をされた方もいるかと思います。
そういう経験の背景には「料率クラス」という背景が存在しているということに着目しましょう。
料率クラスは契約している自動車保険の保険証券に記載がありますのでチェックしてみると良いですね。
任意保険の料金算定に使われる料率クラスを見るとGH8とてそんなに高いわけでもないんだよなぁ。むしろGH2やGH3の高さに驚く。若いドライバーが多いからか。 pic.twitter.com/TUvyaLP2Zc
— ぷらくてぃか⊿☆ (@practica_prfm) 2019年1月27日
料率クラスが算出される仕組み
それでは、自動車保険の料率クラスが算出される仕組みについて解説していきます。
先ほど「料率クラスの数値の高さは危険性の高さ」と解説しました。
この危険性の高さとはつまり「事故の発生確率の高さ」を表しています。
事故が発生する回数(確率)が多い車ほど保険料金が高くなるということです。
ですが、この事故確率は街を走っている車の分母が大きい車ほど1回の事故発生に対する確率の上昇幅は低くなりますので、必ずしも料率クラスが高くなるとは限りません。
100万台のうちの10台の事故よりも1万台のうちの10台の事故の方が事故発生確率が高くなりますので、希少価値のある車の方が保険料金が高くなるということもあります。
この原理が「スポーツカーは保険料が高い」という意味にもなりますね。
ですので、大衆車ほど保険料金が安くなりやすい傾向にあるということになります。
ちなみに料率クラスは「過去3年間の事故等による保険料の支払い実績」を元に算出されます。
意外な事実!軽自動車の保険料はどの車でも共通

車種ごとに保険料(料率クラス)が異なる自動車保険ですが、実は軽自動車だけが”すべて共通の保険料金”となっています。
N-BOXに乗ろうがMOVEに乗ろうがタントに乗ろうがS660に乗ろうが保険料は同一条件であれば全て一緒です。
車両保険の金額によって誤差は生じますが、乗用タイプでもワゴンタイプでもスポーツタイプでも保険料が一緒なのです。
軽自動車の事故が増えれば、軽自動車の料率クラスが上がって無事故でも保険料が上がってしまいます。もちろん、軽自動車の事故が減れば、料率クラスも見直され勝手に保険料が下がっていく場合もあります。
— shigemura (@nakamu34) 2019年2月9日
ちなみに2019年の軽自動車の料率クラスは
- 対人:5
- 対物:5
- 搭乗者:5
- 車両:5
です。
つまり、軽自動車の自動車保険は最も標準的な料金設定ということになりますね。
ちなみに軽自動車は同じ料率クラスであっても普通車よりも保険料が安く設定されていますので、ランニングコストが抑えられるのが魅力的なポイントでもありまありますね。
軽自動車の保険料がすべて同じな理由とは
軽自動車の保険料がどの車種でも同一だった理由は昔の軽自動車の位置づけにあったと言えます。
現在の軽自動車はハイトワゴンやスーパーハイトワゴン、商用タイプ、スポーツタイプなど様々な車種がラインナップされています。
ですが平成初期ごろまでは、どのメーカーもサイズ的にも同じような形状の車しかなかったうえに全体的な分母(台数)も多くありませんでした。
そのため車種ごとの保険料算出が難しかったため、すべての軽自動車をまとめたカテゴリーにしてしまうということです。
この流れが現在まで続いたため、軽自動車の保険料がどの車に乗っていても一律ということになっているのです。
2020年以降は軽自動車でも車種別に保険料が設定される?

今まで一律の料率クラスが設定されていた軽自動車の保険ですが、ついに車種別に料率クラスが導入されるという話が上がってきています。
昨今の軽自動車ブームによって絶対的な分母が増えてきたことや、普通車にも引けをとらない多様なカーラインナップが充実してきたことが背景にあるようです。
まだ軽自動車の車種別料率クラスが導入される時期は未定ですが、早くても2020年には開始されるのではないかという状況になっているとのこと。
普通車のような9段階のクラス分けになるのか、はたまた5段階あるいは3段階になるのかという点も争点になっているようですので、今後の動向が注目されますね。
あれれ?
2020年から軽自動車の任意保険も型式別料率クラスが導入される?
どんどんメリットなくなってきてるね😫😫https://t.co/eEKIi7JUP7— あっき~☆ (@Akky_2star) 2018年3月19日
料率クラスが設定されるとしたら予想される状況
軽自動車の保険料に料率クラスが導入されたら予想されるのは「販売台数の二極化」ではないでしょうか。
マスコミの報道によって一般ユーザーの行動が変わってくるのではないかと思いますが、予想できるのは「分母が大きい車(よく売れている車)ほど保険料が安くなる」などと言われたらその方向に流れていくのではないかと予想をしています。
ですが、これは普通車と同様に9段階クラスになればこうなるかもしれませんが、3段階のクラス分けになればこのような状況にはならないのではないかと考えられます。
おそらく自動車メーカー各社も新車の販売に影響が出ないように要望を出すことは確実に予想されますので、段階的な変更になっていくのではないでしょうか。
保険料が安くなると予想される軽自動車ってどんな車種?
軽自動車の保険に料率クラスが導入されると、車種ごとに保険料が設定されるようになります。
そうすると、保険料が高い車種・安い車種が存在するようになると予想されます。
そうなってしまうとやはり気になるのが「どの車が保険料が安いのか」というところ。
普通車と同じ基準で保険料を考えると、
- 分母(よく走っている車)が多い車は安い傾向になる
- 安全装備が付いている車が安くなる
- 盗難が多い人気車種は高くなる
- 高齢者の購入割合の高い車は高くなる
- 事故の多い車(スポーツタイプなど)は高くなる
といったことが予想されます。
現在販売されている車種で考えると、N-BOXやデイズは保険料が安くなる可能性が高く、S660やタント・ジムニーなどの保険料が高くなる可能性が高いのではないかと思われます。
とはいえ、軽自動車の保険料がどのような形になるのか明らかにならないと何とも言えないのが悲しいところ。
今後の動向に注目ですね。
元ディーラー営業マン直伝!軽自動車の保険料を安くするための秘訣
最後に、現状の保険内容で「保険料が高いな・・・」と思っている方へ元ディーラー営業マン目線で保険料を安くするテクニックを伝授したいと思います。
これから紹介する内容はあくまでも料金重視ではなく、補償内容をしっかりと設定したうえで保険料を抑えるということをコンセプトにしていきます。
ぜひご自身が加入している保険内容と見比べながら読んでくださいね。
車両保険の内容を見直す

自動車保険において、対人対物補償は削りたくても削れない部分。
そうなると見直す必要があるのは車両保険です。
車両保険の内容を見直すことで普通車も軽自動車も関係なく保険料を抑えることができるのです。
「だったら車両保険を失くしちゃえばいい」
と思ってしまいそうですが、そうなってしまうと補償内容が心許なくなってしまいます。
現状の車両保険が「一般条件」でも「エコノミー(車対車+A)」で合っても補償内容をそのままに見直せる部分は「免責金額」です。
免責金額をざっくり説明すると、車を修理する際に「ある一定の金額を自己負担にする」ということ。
例えば車の修理費が15万円かかったとします。
免責金額を5万円という保険内容にした場合、5万円だけ自己負担で残りは保険会社が払ってくれます。
この内容にすることで毎月の保険料は抑えることができます。
免責金額というのは「保険会社が責任を免れる金額」という意味よ。
例えば、保険証券に車両保険(一般タイプ)の免責金額が5万円と記載されている場合、
契約車両がモノと接触して契約車両の修理費用が40万円のときは
5万円が契約者の支払い、35万円が保険会社の支払いとなるわ。— 灯(あかり)_自動車保険bot (@akari8671) 2019年2月9日
これだともしもの時に負担が増えて大変・・・という方には「免責0-5」や「免責0-10」という内容にするのもアリです。
この内容は「契約年度中の最初の修理は自己負担なし、2回目以降の修理は自己負担発生」という意味になります。
1年に何度も事故に逢って車を直すということは滅多にないことですので、こういった内容にするのが一番懸命だと思います。
この内容に変更することで、月々数百円(車種による)の保険料の削減をすることができますよ。
特約を見直す
車両保険の次に見直したい部分は特約です。
ディーラー営業時代によくあったのが「特約の重複」です。
一部の特約は「同一住所で1つでもその特約に加入していれば全ての人に適用される」ものがあります。
その特約は
- 弁護士費用特約
- 個人賠償責任特約
です。
ご家族が車を保有していて、誰かがこれらの特約に加入していれば自身で入る必要はありません。
入っていたとしても重複して利用することができないため無駄になってしまいますので、複数入っている場合は相談して誰か一人の保険にしましょう。
弁護士費用特約入ってて本当に良かったなあと思った
100%向こうが悪くても素直に認めないキ○ガイは沢山います
輸入車相手だとゴネられる可能性が高いとも聞きました
家族のうち誰か1人でも入ってれば家族全員使えるし、毎月数百円で入れるから不安な人は入って、どうぞ— しみ@ (@E90_F10SS) 2017年8月21日
また個人賠償責任特約は、車の保険以外で「住居の火災保険」に付加されているものもあります。
こちらの特約も重複して利用することができませんのでしっかりと確認しましょう。
自動車保険意外と気にしてないけど、大事な特約シリーズ
3.個人賠償責任保険特約火災保険にも付いている場合があるので、重複に注意ですが、とても便利な特約です。
自分または家族が日常生活の中で過失により、他人に危害、または他人の物に損害を与えた時に国内であれば無制限に補償してくれます— 三島友紀@相続・離婚アドバイザー (@1F7mVJFYNVUzJaY) 2019年2月6日
まとめ
軽自動車の自動車保険は、現状どの車でも一律価格ですが今後見直される可能性があります。
それまでの間に保険料を安くするためには「内容の見直し」が必須事項となりますので、しっかりと確認をして負担額を減らすようにしましょう。
