電気とエンジンのいいとこ取りで燃費が良く、環境に優しいハイブリッド車。
ハイブリッド車が出始めたころは車種も限られていましたが、今では選択肢がかなり増えてきました。
ハイブリッド車というと普通車のイメージが強いかもしれませんが、現在では軽自動車でもハイブリッド仕様のものが発売されています。
普通車と比べ、コンパクトなのでもともと燃費もよく維持管理費も安い軽自動車ですが、ハイブリッドになることでどのくらいお得になるのか、今回は調査しました。
軽自動車のハイブリッドとは?
まずは、簡単に軽自動車のハイブリッドについてご紹介します。
現在国内で、ハイブリッド軽自動車を発売しているのは、スズキとマツダの2社です。(詳しい車種は記事後半の「ハイブリッド軽自動車オススメ車種」でご紹介します。)
マツダで発売されているハイブリッド軽自動車はスズキのOEM車になるので、実質的にハイブリッド軽自動車を開発・販売しているのはスズキのみです。
スズキが軽自動車に搭載しているハイブリッドの仕様は「マイルドハイブリッド」といいます。(一部の車種では「S-エネチャージ」と呼んでいます。)
「マイルドハイブリッド」は「エンジンのアシスト」の役割
スズキの「マイルドハイブリッド」は、車が減速する時のエネルギーを利用して発電し、搭載しているリチウムイオンバッテリーに充電します。
発進後や加速時エンジンに負荷がかかる時、その充電した電力をエンジンのアシストとして利用し、燃費向上を図る仕組みです。
電力でアシストする時間は30秒程度。EV走行をする仕組みではなく、あくまでも「エンジンのアシスト」という意味合いでのハイブリッドです。
同じスズキ製の普通車には電力モーターの動力のみで「EV走行」可能な「ハイブリッド車」もありますが、軽自動車に関してはEV走行可能なハイブリッド車はありません。
軽エンジン車と軽ハイブリッドを徹底比較
軽自動車の同じ車種でガソリン車とハイブリッド車が発売されています。
同じ車種でもガソリン車とハイブリッド車で、どの程度燃費や維持費などに違いがあるのでしょうか。
今回はスズキの「ワゴンR」の中でマイルドハイブリッドの上位車種「HYBRID FZ」と、ガソリン車の「FA」で比較してみました。
燃費で比較
それぞれの車種で燃費のいい順に並べます。(ガゾリン車のFAに関してはオートマチック車での燃費を掲載します。)
HYBRID FZ 2WD | 33.4Km/L |
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HYBRID FZ 4WD | 30.4Km/L |
FA 2WD | 26.8Km/L(FZと比較して ー6.6Km/L) |
FA 4WD | 25.4Km/L(FZと比較して ー5Km/L) |
2WDと4WDで多少の差はありますが、およそ5〜6.5Km/Lの燃費の差がありました。
ちなみに、マイルドハイブリッド仕様の車には、「FX」もありますが燃費データは「FZ」と同じです。
軽自動車ではなく、普通乗用車でガゾリン車とEV走行できるハイブリッド車の燃費を比較するとだいたい7〜8Km/L前後の燃費の差がでるものが多いです。マイルドハイブリッドは発進時や加速時のエンジンの補助的役割なので、EV走行できる車種ほどの燃費向上は望めません。
この記事を書いている現在(2019.3.20)のレギュラーガゾリンの全国平均価格が139.2円です。
年間走行キロが7500Km(1日あたり:約27km以内、1ヵ月あたり:約833km以内・平日に近場の職場や駅に通勤や送り迎えで車を使用・1ヵ月に1度のペースで少し遠出のドライブをする程度の車利用を想定)と仮定します。
この場合のカタログ値での年間のガソリン代を計算すると下記の通りです。
HYBRID FZ 2WD | 31,257円 |
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HYBRID FZ 4WD | 34,342円 |
FA 2WD | 38,955円 |
FA 4WD | 41,102円 |
上記はあくまで単純計算です。ガソリン価格は変動や道路上状況は加味していないので、実際はもっとガゾリン代が掛かると考えられます。
しかし、マイルドハイブリッドと4WDのガゾリン車では年間で1万円近い差が発生するようです。

価格で比較
燃費を比較した4種類の車種の価格を比較してみました。セーフティパッケージなどのオプションの価格は算入していない価格です。
HYBRID FZ 2WD | 1350,000円 |
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HYBRID FZ 4WD | 1470,950円 |
FA 2WD | 1078,920円 (FZ比 -271,080円) |
FA 4WD | 1202,040円 (FZ比 -268,910円) |
<上記のの数値は下記のサイトを参考にしています>
スズキ公式サイト:ワゴンR車種別環境情報
27万円ほどマイルドハイブリッド仕様の方が価格は高くなります。
一方普通車のガソリン車とハイブリッド車では30〜60万円(車種や仕様で価格差あり)ほど価格の差がでます。
元々の本体価格も安い軽自動車で、27万円の価格差を「大きい差」と見るかどうかは人それぞれの懐具合によるかと思いますが、ハイブリッド仕様の普通車を購入するよりも気軽に燃費や環境に優しい車を購入できる機会になりそうです。
税金や維持費で比較
燃費や低排出ガス車の水準によっては、購入時や車検時に掛かる税金が減税や免税になります。軽自動車所有に掛かる税金は以下の通りです。
- 自動車取得税・・・自動車の購入時に取得者に対して課税される税金
- 自動車重量税・・・自動車の新規登録や車検時に自動車の重量に対して支払う税金
- 軽自動車税・・毎年4月1日時点での自動車の車検証上の所有者に対して、自動的にかかる税金
※自動車取得税・自動車重量税は平成30年4月1日〜平成31年3月31日登録・届出の場合
※軽自動車税は平成29年4月1日〜平成31年3月31日登録・届出の場合
HYBRID FZ 2WD |
→(自動車取得税減税額:18,000円)+(自動車重量性税減税額:5,700円)+(軽自動車税減税額(届出年度):5,400円)=29,100円の減税 |
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HYBRID FZ 4WD |
→(自動車取得税減税額:14,700円)+(自動車重量性税減税額:5,700円)+(軽自動車税減税額(届出年度):2,700円)=5500円の減税 |
FA 2WD |
→(自動車取得税減税額:3,600円)+(自動車重量性税減税額:1,900円)+(軽自動車税減税額(届出年度):減税無し)=5500円の減税 |
FA 4WD |
→(自動車取得税減税額:3,600円)+(自動車重量性税減税額:1,900円)+(軽自動車税減税学(届出年度):減税無し)=5500円の減税 |
<上記の数値は下記のサイトを参考にしています>
スズキ公式サイト:ワゴンPグレード別試算表
スズキ公式サイト:「エコカー減税とは?」
購入時の価格はガソリン車に比べて価格が高いマイルドハイブリッド車ですが、マイルドハイブリッドの2WDなら各種減税率が大きいので、マイルドブリッド車にするメリットが大きいですね。

燃費と価格のバランスで見ると軽ハイブリッドはお得?
ここまでスズキ・ワゴンRのマイルドハイブリッド車とガゾリン車を比較してきましたが、結局のところどちらを所有するのがお得なのでしょうか。
2018年の軽自動車の平均使用年数は15.4年です。
多くの人は10年程度で乗り換えるとしても、その間に掛かるガソリン代と軽自動車税の積み重ねで、トータルで考えるとマイルドハイブリッド車の方が乗れば乗るほどお得になります。
購入の際の初期費用をできるだけ抑えて、数年乗って買い換える予定の場合はガソリン車、という選択もアリです。
しかし、乗り始めてからのコストや環境への配慮、マイルドハイブリッドの静音性を考えるとコスト以上のメリットがマイルドハイブリッド車にはあります。
ハイブリッド軽自動車おすすめ車種6選
ここからはハイブリッド軽自動車のオススメ車種をご紹介します。
ハイブリッド軽自動車は、主にスズキで開発・生産・発売していますが、マツダは「OEM車」としてスズキと同じ車両を、マツダのエンブレムをつけオリジナルのブランド名をつけて発売をしています。
OEM車は「自社で扱っていないタイプの車両を、開発コストを抑えて販売できること」がメリットです。軽自動車の中ではまだ珍しいハイブリット仕様の車を取り扱いできることがOEM車を販売するマツダのメリット、ということです。
今回ご紹介するオススメ車種は、OEM車の含めてご紹介していきます。
ハイブリッド軽自動車オススメ車種1:ワゴンR(スズキ)

ハイブリッド軽自動車の代名詞とも言える車種です。
先でご紹介した「マイルドハイブリッド」を搭載しているのは、ワゴンRの中でも「HYBRID FZ」「HYBRID FX」のグレードです。
「FZ」と「FX」の違いは、ぱっと見で分るフロントの見た目の違いの他、スタビライザーやライトに仕様など細かい違いがあります。
ワゴンR HYBRID FZ | <燃費> 2WD・・・33.4Km/L 4WD・・・30.4Km/L<価格> 1,350,000円〜 |
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ワゴンR HYBRID FX | <燃費> 2WD・・・33.4Km/L 4WD・・・30.4Km/L<価格> 1,177,200円〜 |
どちらのグレードでもスズキの安全装備「スズキセーフティサポート」をオプションで付加可能です。
衝突被害軽減ブレーキ、誤発進抑制など8つの安全性能を装備することができ、運転する人、周りの車や歩行者の安全にも配慮してドライブを楽しむことができます。

ハイブリッド軽自動車オススメ車種2:フレア(マツダ)

マツダ「フレア」は、スズキ・ワゴンRのOEM車です。
マイルドハイブリッドの仕組みや車の仕様は、ワゴンRと同じです。
フレアのマイルドハイブリッド車は「HYBRID XG」と「HYBRID XS」というグレードです。
「HYBRID XS」がワゴンRの「HYBRID FZ」に、「HYBRID XG」がワゴンRの「HYBRID FX」に当たる車両となります。
フレア HYBRID XS | <燃費> 2WD・・・33.4Km/L 4WD・・・30.4Km/L<価格> 1,350,000円〜 |
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フレア HYBRID XG | <燃費> 2WD・・・33.4Km/L 4WD・・・30.4Km/L<価格> 1,177,200円〜 |
燃費性能や販売価格もワゴンRと同じです。スズキで購入するもの、マツダで購入するのも大差はありません。
安全装備に関しても、ワゴンRと同等の内容がオプションで装備することができます。
ハイブリッド軽自動車オススメ車種3:スペーシア(スズキ)

次に紹介するのは、スズキ「スペーシア」です。この車種もマイルドハイブリッド搭載です。
先に紹介したワゴンRやフレアよりも、スッキリとシンプルなデザインで、ファミリーや女性をターゲットにした車種です。
ハイブリッドのグレードは2つあり、「HYBRID X」と「HYBRID G」があり、Xの方が上位モデルです。
スペーシア HYBRID X | <燃費> 2WD・・・28.2Km/L 4WD・・・26.4Km/L <価格> 1,468,800円〜 |
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スペーシア HYBRID G | <燃費> 2WD・・・30.0Km/L 4WD・・・26.4Km/L <価格> 1,274,400円〜 |
燃費性能はワゴンRやフレアの方が良いですが、デザイン性や豊富なボディカラーを選ぶことができるのがスペーシアのメリットです。
環境に優しく、燃費の良いハイブリッド車だけど、おしゃれな車に乗りたい人にオススメの車種です。
スペーシアには、2018年12月に「スペーシアギア」という新しいシリーズが追加されました。
「スペーシアギア」は、ゴツゴツした印象のデザインで街乗りよりもアウトドア向けな「SUV寄り」のデザインとなっています。
「スペーシアギア」もマイルドハイブリッドを搭載した軽自動車ですが、燃費に関しては「スペーシア」の方がわずかに良いです。
スッキリしたデザインの車が好きでエコや燃費を重視したい人は「スペーシア」を、コンパクトだけどSUVっぽいデザインの燃費もほどほど良い車に乗りたい人には「スペーシアギア」がオススメです。

ハイブリッド軽自動車オススメ車種4:フレアワゴン(マツダ)

フレアワゴンは、スズキの「スペーシア」をOEM車です。燃費性能や価格は先に紹介した「スペーシア(スズキ)」と同じです。
フレアワゴンは「HYDRID XS」「 HYBRID XG」があります。
フレアワゴン HYBRID XS | <燃費> 2WD・・・28.2Km/L 4WD・・・26.4Km/L <価格> 1,468,800円〜 |
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フレアワゴン HYBRID XG | <燃費> 2WD・・・30.0Km/L 4WD・・・26.4Km/L <価格> 1,333,800円〜 |
スズキの「スペーシアギア」に当たる車両は「フレアワゴン タフスタイル」という名称で、フレアワゴンシリーズから発売されています。
燃費、価格は、スズキのスペーシアと変わりありません。カラーバリエーションに関してはフレアワゴンは選択肢が少なくなっています。
ハイブリッド軽自動車オススメ車種5:ハスラー(スズキ)

次に紹介するのはスズキの「ハスラー」です。個性的なCMでご存知の人も多いのではないでしょうか。
ハスラーのハイブリッドシステムは、ここまでご紹介してきた「マイルドハイブリッド」とは違って「S-エネチャージ」というスズキの技術を用いています。
「S-エネチャージ」も基本的には「マイルドハイブリッド」と同じで、減速時の動力を充電して、その電力で発進や加速時の動力のアシストをするシステムです。
ハスラーで「S-エネチャージ」を搭載しているモデルは「J」「Jターボ」「G」「Gターボ」の4車種です。
各車種の燃費と販売価格の目安は以下の通り。
ハスラー J | <燃費> 2WD・・・32.0Km/L 4WD・・・30.4Km/L <価格> 1,485,000円〜 |
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ハスラー Jターボ | <燃費> 2WD・・・27.8Km/L 4WD・・・26.4Km/L <価格> 1,578,960円〜 |
ハスラー G | <燃費> 2WD・・・32.0Km/L(CVT) 4WD・・・30.4Km/L(CVT) <価格> 1,197,8720円〜 |
ハスラー Gターボ | <燃費> 2WD・・・27.8Km/L 4WD・・・26.2Km/L <価格> 1,409,400円〜 |
ターボは燃費がやや下がりますが、ターボなしはワゴンRの順ずる程度の燃費の良さで、価格もワゴンRと同等程度です。
ハスラーも、エコカー減税の対象になります。詳しくはスズキの公式サイトで減税額が確認できます。
ハスラーは、タープやラゲッジネットなどハスラーオリジナルのアクセサリーや、車の外観や内装をイメージチェンジできるデカール(ステッカー)などのオプションも豊富にあり、自分だけのオリジナリティのある車を作り込みたい人にはオススメです。

ハイブリッド軽自動車オススメ車種6:フレアクロスオーバー(マツダ)

次に紹介するのはマツダの「フレアクロスオーバー」です。こちらは、前にご紹介したスズキ・ハスラーのOEM車です。
フレアクロスオーバーは「XT」「XS」「XG」という3種類のハイブリッド仕様の車両です。それぞれの燃費と価格の目安は以下の通りです。
フレアクロスオーバー XT | <燃費> 2WD・・・27.7Km/L 4WD・・・26.2Km/L <価格> 1,639,940円〜 |
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フレアクロスオーバー XS | <燃費> 2WD・・・32.0.0Km/L 4WD・・・30.4Km/L <価格> 1,495,800円〜 |
フレアクロスオーバー XG | <燃費> 2WD・・・32.0Km/L 4WD・・・30.4Km/L <価格> 1,387,600円〜 |
燃費に関してはハスラーの同等モデルと同じです。販売価格は仕様の違いなどで多少価格に違いがあるようです。
スズキ・ハスラーと同じように、タープやラゲッジネット、デカールなど、自分だけのオリジナリティのある車にするための装飾オプションも豊富もあります。
フレアクロスオーバーもエコカー減税の対象となります。
スズキ・ハスラー同様、燃費やエコも気にしつつ、車でアクティブに出かけて遊びたい方、普通の軽自動車ではつまらない、ちょっと変わった軽自動車が欲しい、とお考え人にオススメの車種です。
まとめ
今回は、ハイブリッド軽自動車についてご紹介しました。
ガソリン車に比べてどのくらいメリットがあるのか、燃費やコストから調べてみました。さらに、ハイブリッド軽自動車のオススメ車種もご紹介しました。
軽自動車は購入価格も安く、ガソリン車でも燃費良く、税金も安いので、普通車を所有するのと比較してお得です。
さらに、ハイブリッド軽自動車となると、燃費も向上し、エコカー減税の対象にもなるので、維持費も抑えられルノで、長く乗るつもりで購入するなら購入価格は少し高くはなっても、ハイブリッド仕様のものを選ぶのがオススメです。
ハイブリッド軽自動車は発売している会社が少ないのが現状ですが、少ない中でも街乗り、ファミリー向け、SUV仕様など、様々なテイストの車を選ぶことができます。
好みのテイストのハイブリッド軽自動車を見つけて、お得でエコなカーライフを満喫してください!
