日産が誇る小型で軽量のFRスポーツといえばシルビア。
2002年にS15型の最終モデルが生産中止となりましたが、未だにドリフトをはじめとしたモータースポーツの世界でまだまだ現役と言わんばかりの活躍をしているだけでなく、新たなチューニングパーツが発売されているなど
そのシルビアの心臓部に搭載されているエンジンが皆さんがよくご存知のSR20エンジン。
SR20って聞いたことはあるけれど実際はどのような歴史があるのかわからないという方も多いかと思います。
そしてSR20はシルビア以外にも搭載されていたという歴史もあります。
そこで今回は、17年の歳月が経っても根強い人気を誇る日産の名エンジンSR20の全貌を解説していきます。
Contents
SR20ってどんなエンジン?
まずはじめにSR20がどんなエンジンであるのか、ということから振り返ってみましょう。
直感的なSR20のイメージは
- シルビアに搭載されている
- 4気筒の2,000cc
- ターボとNAがある
- RB26DETTとならぶ日産の名エンジン
- 整備がしやすく丈夫なエンジン
といったものが浮かんでくるのではないでしょうか。
SE20エンジンはまさにこれらのイメージ通りのエンジンです。
SR20は、1990年代の日産を支えてきた代表的な4気筒の2,000ccクラスの代表的なDOHC16バルブエンジンで、SRエンジンの名称はSimple Rayout(Layoutが正確な綴り)の頭文字を取ったものであるとされています。
シンプルレイアウトという名称からもわかる通りエンジン自体の構造がシンプルにできているので、整備性に優れているだけでなく、アフターパーツメーカーから数多くのチューニングパーツが発売されています。
主にシルビアに搭載されているというイメージが強いエンジンですが、1990年代の日産車の多くに搭載されています。
シルビアのようなFR車だけでなくFF車にも載せられた、非常に汎用性の高いエンジンなのです。
SR20エンジンのスペック
続いて、SR20エンジンのスペックを確認していきましょう。
前の項でSR20エンジンは多くの日産車に搭載された汎用性の高いエンジンと紹介しましたが、それぞれスペックが違っています。
ここでは主にS15型のシルビアに搭載されているSR20エンジンについて解説していきます。
SR20DE(NA)
まずはじめにノンターボ(NA)のSR20エンジンのスペックを見ていきましょう。
S15型シルビアでは「スペックS」というグレードに装着されていました。
搭載されているミッションによってスペックが若干異なるので、それぞれ確認していきます。
【4速ATに搭載されているSR20DEエンジン】
馬力 | 118kW(160PS)/6,400rpm |
トルク | 188N・m(19.2kg・m)/4,800rpm |
ガソリン | プレミアムガソリン |
【6速MTに搭載されているSR20DEエンジン】
馬力 | 121kW(165PS)/6,400rpm |
トルク | 192N・m(19.6kg・m)/4,800rpm |
ガソリン | プレミアムガソリン |
SE20DET(ターボ)
次にターボのSR20エンジンのスペックを見ていきましょう。
日産ではターボ付きエンジンはエンジン型式の末尾に「T」が入ります。
非常にわかりやすいですね。
S15型シルビアでは「スペックR」というグレードに装着されていました。
ターボもNA車と同様に搭載されているミッションによってスペックが若干異なりますので、それぞれ確認していきましょう。
【4速ATに搭載されているSR20DETエンジン】
馬力 | 165kW(225PS)/6,000rpm |
トルク | 275N・m(28.0kg・m)/4,800rpm |
ガソリン | プレミアムガソリン |
【6速MTに搭載されているSR20DETエンジン】
馬力 | 184kW(250PS)/6,400rpm |
トルク | 275N・m(28.0kg・m)/4,800rpm |
ガソリン | プレミアムガソリン |
SR20エンジンのスペック考察
S15型シルビアに搭載されていたSR20エンジン。
NA(ノンターボ)とターボ、それぞれATとMTのスペックを確認していきましたが、微妙に違うということがわかりますね。
ATグレードの方がMTグレードと比較して馬力もトルクも若干低いです。
ターボに関しては馬力が25馬力も違うので乗った感じも変わってくるのではないでしょうか。
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SRエンジンは日産の主力エンジンだった
SR20を筆頭とするSRエンジンは1989年9月から2007年5月に製造され、1990年代から2000年代初頭にかけて生産された日産の数多くの車種に搭載されていました。
SR20は
”Simple Rayout”
の言葉通り、エンジンそのものの造りや構造がとてもシンプルなエンジンです。
シンプルであるがゆえに製造コストも抑えることが実現できたためという背景もあるようです。
同じSRエンジンでもシルビアに搭載されているSR20とは別物の、出力をおさえてより耐久性を向上させていたSRエンジンもあるのです。
SRエンジンを搭載していた代表的な日産車は
- サニー(B13型,B14型,B15型前期)
- パルサー(N14型,N15型)
- プリメーラ(P10型,P11型,P12型)
- ウイングロード(Y10型,Y11型前期)
- ブルーバード(U12型後期,U13型,U14型)
- ルネッサ(N30型)
- プレーリー(M11型後期,M12型前期)
- ティーノ(V10型)
- セレナ(C23型,C24型前期)
- アベニール(W10型,W11型前期・中期)
- プレセア(R10型,R11型)
- X-TRAIL(エクストレイル、T30型)
といったように、セダンからミニバン、SUVと多岐にわたって搭載されていました。
これらの車種には
- SR16VE
- SR18Di
- SR18DE
- SR20DE
- SR20VE
- SR20VET
といったバリエーションが豊富なエンジンを搭載していました。
それぞれのエンジンに特徴がありますが、これらの中で最もポピュラーなエンジンだったのが「SR20DE」で、搭載車種の大半を占めていました。
余談ですが、T30型エクストレイルのGTというグレードにのみ搭載されたSR20VETというエンジンがSR20系エンジンの最高峰に位置するエンジンでした。
DOHC16バルブ・シングルターボ搭載モデルで、NEO VVLを採用した過給器付きエンジンとなっており、最高出力280馬力とSRエンジン史上最高のスペックを誇ります。
シルビアのSR20DETエンジンよりもパワフルですね。
中古車サイトのカーセンサーでGTグレードのT30エクストレイルを調べると全国に20台も在庫がありませんでした。
最強のSUVを探している方は検討してみてはいかがでしょうか。
SRエンジンの前身と後継エンジンって存在するの?
シルビアだけでなくセレナやエクストレイル、ブルーバードといった日産の主力車種に搭載されていたSRエンジン。
SRエンジンが主力となる前は「CAエンジン」というエンジンが日産の主流エンジンで、SRエンジンはこのCAエンジンの流れを汲んでいるエンジンとなっています。
CAエンジンは1981年5月から1995年10月に製造され、当時の日産の中型乗用車・商用車、上級乗用車の廉価仕様、商用車、ワンボックスカーを中心に搭載されていました。
搭載されていた具体的な車種としては
- スカイライン(R31型)
- ローレル(C31型、C32型)
- ブルーバード(U11型)
- オースター(T11型)
- ガゼール(S12型)
などが挙げられます。
意外と知られていない事実なのですが、実は1991年(平成3年)のマイナーチェンジ前までに生産されていたS13型のシルビアと姉妹車の180SXの前期型に搭載されていたエンジンがCA18というエンジンでした。
シルビア=SR20
というイメージが非常に強いですが意外ですよね。
中古のS13型を探している際にはCAエンジンを搭載した前期型かそれ以外をしっかりと調べておく必要がありますね。
SR20を搭載した代表車種
ここではSR20エンジンを搭載した代表的な車種を3車種ご紹介していきます。
シルビア

言わずと知れた日産のライトウェイトFRスポーツカーの代名詞なのがシルビアです。
SR20エンジンといえばシルビア
シルビアといえばSR20エンジン
といっても過言ではありませんよね。
シルビアというとS13型からS14型、S15型のイメージが非常に強いかと思いますが、実は長い歴史を持っている車なのです。
デビューしたのが1965年。このころの型式はCSP311型で、ダットサンクーペ1500という名称でした。
1975年にS10型がデビューし、1979年にS110型、そして1983年にS12型といった流れでモデルが進んでいきます。
時系列で並べてみると
CSP311型・・・1975年~1968年
S10型・・・1975年~1979年
S110型・・・1979年~1983年
S12型・・・1983年~1988年
S13型・・・1988年~1993年
S14型・・・1993年~1998年
S15型・・・1998年~2002年
といった感じになります。
ちなみにSR20型エンジンが搭載されたS13型シルビアは1991年1月にマイナーチェンジをした後のモデルとなっています。

ちなみにS13シルビアは、当時デートカーとして人気を博していた「ホンダ・プレリュード」の牙城を崩した車としても有名な話ですよね。
S13型とS14型のグレード体系が当時はとても特徴的で、上位グレードから「K’s」「Q’S」「J’s」、特別仕様車が「ダイヤセレクション(S13型)」「クラブセレクション(S14型)」といった感じでした。
グレード体系を見てピンときた方もいるかと思いますが、この名前の由来はトランプから来ているのです。
とてもセンスのいい名付けではないでしょうか。
ちなみにK’sがSR20DETエンジンを搭載したターボ仕様車、Q’sとJ’sがSR20DEエンジンを搭載したNA仕様車となります。
同じエンジンを搭載していましたが、S13型はボディサイズが5ナンバー、S14型はワイドボディを採用したため3ナンバーとなっています。

S14型はボディサイズが大きいという理由から不評でした。
S15では不評だったボディサイズを5ナンバーサイズに小さくしてデビュー。
グレード体系を従来のトランプ由来のものからNAモデルの「spec.S」とターボモデルの「spec.R」という形にシンプル化しました。

S13型からS15型にかけて搭載されていたSR20エンジンのスペック向上がありました。(後述)
シルビアはまさに
「SR20エンジンの歴史を語るには欠かせない存在」
と言えるでしょう。
180SX

180SXはS13型シルビアの姉妹車として誕生した車です。
もともとはS13型シルビアの日本国外輸出型である北米向けの240SXがベースとなっていて、エンジンをS13型シルビアと共通化して国内で発売したものが180SXです。
シルビアと外見上の特徴を比較すると、180SXはヘッドライトがリトラクタブルヘッドライトを採用し、ハッチバックの3ドアを採用しています。
一目でS13型シルビアと180SXの区別がつくのも大きなポイントですね。
リトラクタブルヘッドライトを採用した背景はデザインのためだけではありません。
北米の法規上ではS13型シルビアのヘッドランプの高さでは認証が取れなかったのです。
北米向けの240SXは240の車名が表す通り、総排気量2,400ccの直列4気筒エンジン・KA24DEおよびKA24Eを搭載していました。
それにあやかり180SXは、発売当時の国内仕様の姉妹車であるシルビアが排気量1,800ccのCA18エンジンを搭載していたことからその名がつけられました。
SXという名称は日産車の北米向け車種というところから来ているという由来と、英単語「SEXY」から2文字を取ったという2つの由来があります。
日本国内における180SXの発売期間は1989年5月~1998年12月と約10年間にわたります。
姉妹車のシルビアがS14型、S15型とモデルチェンジをするなか、180SXはRS13型、RPS13型(いわゆるS13型)のまま発売し続けされたということになりますね。
シルエイティ
シルエイティは、180SXの車体に姉妹車であるシルビアのフロントマスクを接合した車両の通称です。
いわゆる顔面スワップと呼ばれるチューニングの代表例として知られる車種ですね。
シルエイティが登場した背景ですが、あるチューニングカー愛好者が180SXの前部を事故等で破損した際に、
「リトラクタブルヘッドライトは修理するのに部品代が高くつくから、台数が多く部品代の安い姉妹車のシルビアの前部を使ったらどうだろうか」
という発想をしたことが原点とも言われています。
一方でリトラクタブルライトは通常のヘッドライトよりも重量が重いため、それを取り払うことでフロントヘビーが解消(=フロントを軽量化)させることを目的としたとも言われています。
シルエイティの由来は「シルビア+ワンエイティ」からきています。
また、シルエイティの名称は正式な車種名ではく車好き界隈での通称でしたが、シルエイティの名称は日産自動車によって商標登録されています。
(番外編)ワンビアってなに?
D1グランプリやチューニング業界において偶に聞く名前がワンビア。
ワンビアはシルエイティと同じく顔面スワップの俗称になります。
シルエイティは180SXにシルビアのフェイスを移植したものですが、ワンビアはその逆。
シルビアのボディに180SXの顔面を移植したものになります。なのでワンビアと名づけられました。
シルエイティのように部品が安いシルビアの部品を流用することは理にかなっていますが、ワンビアはその逆ですので競技においてはややコストパフォーマンスが良くないチューニングとなります。
リトラクタブルヘッドライトが好き!という方にはおススメのドレスアップといってもいいでしょう。
ワンビアにはS13型ベースだけではなく、S14型やS15型ベースのものも存在するのも特徴的ですね。
S15のワンビア初めて見たwww pic.twitter.com/xL77MEdGMT
— かずたに@180sx制作中 (@RPS13_nino) November 17, 2018
シルビアに搭載されていたSR20エンジンの変遷
それでは、11年もの年月をシルビアとともに歩んできたSR20エンジンのスペック推移をチェックしていきましょう。
S13時代
最初に1991年1月のマイナーチェンジで登場したS13型に搭載されていたSR20エンジンのスペックを確認していきます。
まずはNA仕様のSR20DEです。
馬力 | 140PS/6,400rpm |
トルク | 18.2kgf·m/4,800rpm |
次にターボ仕様のSR20DETです。
馬力 | 205PS/6,000rpm |
トルク | 28.0kgf·m/4,000rpm |
S14時代
次は1993年にフルモデルチェンジしたS14型のSR20エンジンのスペックを見ていきます。
S13型からどれくらい変わったか要チェックです。
まずはNA仕様のSR20DEです。
馬力 | 160PS/6,400rpm |
トルク | 19.2kgf·m/4,800rpm |
次にターボ仕様のSR20DETです。
馬力 | 220PS/6,000rpm |
トルク | 28.0kgf·m/4,800rpm |
ちなみにS14型には「オーテックバージョン K’s MF-T」という特別仕様車があります。
これは日産の特別架装車を取り扱う部門であるオーテックジャパンによってベース車の各部をファインチューニングしたものです。
このシルビアに搭載されたSR20DETエンジンは専用チューンに加え石川島播磨重工業(現社名:IHI)製の専用ターボチャージャーとマフラーで有名な藤壺技研工業(FUJITSUBO)製の専用エキゾーストシステムを組み合わせたことにより、最高出力250PS/6,400rpm、最大トルク28.0kgf·m/4,800rpmを発生させました。
今となっては超希少車ですね。
S15時代
最後にSR20エンジンを搭載したS15型のエンジンスペックを見ていきましょう。
S15型におけるSR20エンジンのスペックは、トランスミッションによって異なってきますので、それぞれチェックしていくことにします。
まずはNA仕様のSR20DEです。
AT仕様のスペックは以下の通りです。
馬力 | 160PS/6,400rpm |
トルク | 19.2kgf・m/4,800rpm |
MT仕様のスペックは以下の通りです。
馬力 | 165PS/6,400rpm |
トルク | 19.6kgf・m/4,800rpm |
次にターボのSR20エンジンのスペックです。
AT仕様のスペックは以下の通りです。
馬力 | 225PS/6,000rpm |
トルク | 28.0kgf・m/4,800rpm |
MT仕様のスペックは以下の通りです。
馬力 | 250PS/6,400rpm |
トルク | 28.0kgf・m/4,800rpm |
SR20エンジンのスペック上昇値まとめ
最後にS13型からS15型の11年の間にどれくらいスペックが向上したのかを分かりやすくまとめてみます。
S15型はMT仕様のスペックを参考とします。
まずはSR20DEですが
馬力が140PS→160PS→165PS(上昇値25PS)
トルクが18.2kgf·m→19.2kgf·m→19.6kgf・m(上昇値1.4kgf・m)
となります。
次にSR20DETですが
馬力が205PS→220PS→250PS(上昇値45PS)
トルクが28.0kgf·m→28.0kgf·m→28.0kgf・m(上昇値0)
となります。
馬力に関してはかなり進化していますね。
ちなみにSR20DEおよびSR20DETは複数回に渡りモデルチェンジが行われています。
S14型シルビアに搭載されたエンジン以降は大幅な仕様変更を受けていて、シリンダーヘッド側が大きく変化しています。
具体的には、NVCSが追加され、吸気ポートの位置が下側に移動しローポート化されています。
ローポート化によって吸気効率が悪化しているものの、NVCSにより燃費の改善と出力の向上が計られています。
SR20のNAが意外とスゴイ!
SR20エンジンと聞くとシルビアに搭載されているターボエンジン
というイメージが先行しがちですが、実はNAエンジンだってスゴイんです。
ここでは、SR20DEのスゴイところとNAエンジンの魅力について紹介していきます。
SR20のイメージの大半はターボ
なんだかんだ言っても、SR20=ターボというイメージになってしまいますよね。
ここで、世間のイメージをチェックしてみたので見ていきましょう。
やっぱりシルビアって日産の運動神経善いヤツってイメージ(FDには多分及ばないw)
運動神経よいやつってスポーツなにやっても出来るw
ドリフトよしグリップよし
比較的軽量コンパクト
SR20ターボ+FRって組み合わせも
GTRがマッチョなヤツでパワーで走ってる感じかな? pic.twitter.com/2uBmsni2GM
— BirdWatchingMan&seiji (@VTRhetareRider) June 5, 2017
@nikon_fm2 SR20っていったらターボのイメージが強いですよね
— Bohemian (@officebohemian) February 28, 2015
このようにTwitterでのイメージもSR20=ターボというイメージが非常に先行しています。
ですが、その反面
NAってSR20のイメージがあるんだよなあ・・・
— T君 (@3510_JZX81) May 25, 2018
このようなイメージを持っている方もいます。
確かに、シルビア以外でSR20が搭載された車はNA車が多いのは事実ですから、そういったイメージがというのはいいことではないでしょうか。
実ははNAエンジンも面白い
SR20に対する世間のイメージはターボということですが、NAエンジンにはNAエンジンの魅力もあり面白いのです。
確かにターボエンジンは
- ハイパワー
- ドッカンとした加速感を味わえる
- 小排気量でもキビキビ走る
といったメリットがありますよね。
ですが、ターボエンジンでは味わえない魅力がNAエンジンにはあるのです。
SR20エンジンに限らずNAエンジンには
- エンジンのツキ(レスポンス)がいい
- 高回転域まで気持ちよく回せる
- エンジンサウンドが官能的
- ターボと比べるとエンジンに負荷がかかりにくい
といった特徴があります。
とくにエンジンサウンドに関しては、ターボエンジンでは奏でることのできない心地よいサウンドを奏でることができます。
ちょっと余談ですが、車を題材としたマンガで「ジゴロ次五郎」というマンガがありました。
車好きの方なら聞いたことや読んだことがあるマンガかもしれません。
知らない方に簡単に紹介をします。
このマンガの主人公である石川次五郎が乗っていた車が実はS13型のQ’s(NA仕様)。
ドアがガルウィングで非常に目立つだけでなく、様々な伝説をもった妖車という設定があります。
このマンガの1シーンでS13型シルビアの前のオーナーである浅本俊一郎が言ったセリフがとても深い名言なのです。
その名言を紹介しますね。
どーヨ?この男を溶ろかすようなサウンド?
ターボ車じゃこんなソプラノ出せねーだろーが?
覚えとけヨ マコト
車は速えか遅えかじゃねー大事なのはつき合ってて楽しいか楽しくねーか
イイ女と同じだヨ
速いだけが車じゃない。NAにも魅力がある。
まさにこう言いかえることができますよね。
SR20のNAを搭載したおすすめのシルビア
先ほどのセリフを読んで「NAのシルビアに乗りたい!」って思った方も多いのではないでしょうか。
そういった方に向けて、当サイトオススメのNAのSR20DEを搭載したシルビアをご紹介していきます。
シルビア オーテックバージョン
S15のスペックSも良いですが、せっかく買うならオーテックバージョンがオススメ。
このオーテックバージョンは、スペックSをベースとしてファインチューニングを行ったもの。
自然吸気エンジンのNVCS付きSR20DE型専用エンジンは、圧縮比アップによる燃焼効率の向上や背圧低減による高回転域の排気効率向上、狙いのトルク特性を引き出すためバルブタイミング、リフト量のチューニング等、エンジン内部を見直されています。
さらに藤壺技研工業(FUJITSUBO)製の専用エキゾーストマニホールドを採用しています。
このチューニングにより最高出力200PS/7,200rpm、最大トルク21.8kgf·m/4,800rpmを発生。
驚くことにボディ補強や前後ブレーキ、MTミッション(6速)、リヤヘリカルLSDなどはターボ仕様のスペックRと共通なのです。
エンブレム以外は標準グレードと見分けがつかないという点も大きなポイント。
まさに「羊の皮を被った狼」なのです。
シルビア ヴァリエッタ

速くなくてもいいから、とにかく目立ちたい!という方にオススメなのがこのヴァリエッタ。
特徴的なのが国産車初のフルオープンタイプ電動メタルルーフを採用したオープンカーであるということ。
エンジンはスペックSと同様のSR20DE。足回りもスペックSと全く同じなのでオーテックバージョンのようなゴリゴリ感はありませんが、「オープンカーのS15」という時点で特別感があります。
大半の部品はS15シルビアのものが流用できますので、ドレスアップにもおすすめです。
シルビアヴァリエッタといえば「RED Memory」の名前で活躍されているYouTuberが有名ですね。
SR20DETを搭載した意外な車種一覧
シルビアも良いけど他のSR20のターボ車がいい!
もいるかと思います。
シルビア以外にもSR20DETを搭載した車ありますのでご紹介します。
え?これもなの?
と思えるような意外な車種もありますよ!
パルサーGTI-R(N14型)

パルサーといえば日本国内で発売されていた小型車です。
どちらかというと大衆車のイメージが強いですが、GTI-RというグレードにSR20DETが搭載されています。
3ドアハッチバックをベースにしているパルサーGTI-Rは、4連スロットルバルブ等を搭載しハイチューン化されたSR20DETを搭載。230psを叩き出します。
さらにU12型ブルーバードSSS-Rから熟成されたフルタイム4WDシステム「ATTESA」までも搭載した、ラリーカーを彷彿とさせるスポーツカーなのです。
アベニール(W11型)

アベニールは2005年に絶版となった車なので知らない方も多いでしょう。
パッと見た感じ、商用車のADバンやウィングロードにも似ているステーションワゴンです。
もともとはスカイラインワゴン(R31型) / バン(R30型)とブルーバードワゴン / バン(いずれもU11型)を統合してできた車種なのですが、アベニールにもSR20DETを搭載した「GT」というグレードが存在します。
14年以上前の車ですから球数は少ないですが、小型でターボを搭載したステーションワゴンを探している方にはおススメの車ともいえます。
プレーリーリバティ(M12型)

「パパ ママ リバティ」
というキャッチフレーズを聞いたことがある、という方もいるかと思います。
リバティはかつて日産が発売していた小型のミニバンです。
駆動系やシャシをアベニールと共有していたこの車、前期型と呼ばれる1998年~2001年式は全車種NAのSR20DEを搭載していました。
そしてそれよりも期間の短い1999年10月~1991年5月の間に発売されたのが「ハイウェイスター4WD」にターボエンジン SR20DET型を搭載し、内外装にも手を加えた「ハイウェイスターGT4」というグレード。
今となっては珍しい「走りのミニバン」を楽しむことができる1台です。
SR20エンジンはチューニングに最適なエンジンである
ここからはSR20エンジンのチューニングについて触れていきたいと思います。
耐久性は申し分ないエンジン
実はSR20DETが出た当初は「アルミブロックエンジンの耐久性は鋳鉄ブロックエンジンに劣る」とされて積極的なチューニング対象となっていませんでした。
ですが年月が経ち各チューナーのノウハウも蓄積されてきたことで高度なチューニングに耐えることが実証されてくると、様々なチューニングカーに応用されていき、確固たる地位を得ることになったのです。
アフターパーツが豊富
SR20はシルビア以外にも多くの車種に搭載されてきた(=生産数の多い)エンジンです。
なので、チューニングによるパワーアップなどを考えた時、社外のアフターパーツも非常に豊富なラインナップがあります。
SR20エンジンの生産終了から10年以上経過し、純正パーツが少なくなってきている現在でも、簡単な修理だけでなく部品交換であっても、同じエンジンを搭載した車種からの部品流用も簡単です。
特にシルビアや180SXに搭載されたFR仕様のSR20DETは競技シーンでもいまだに現役なエンジンですから様々な部品があります。
根強い人気を誇るエンジンなので新しいパーツが発売されたり、他のエンジンからの流用もできるようにスワッピングキットが発売されてもいます。
いわゆる旧車に分類されつつあるSR20エンジンを搭載したシルビアですが、アフターパーツが法にラインナップされているのは安心です。
SR20DETのチューニング | おすすめショップはココ!
SRエンジンのチューニングで有名な店舗が何店舗かあります。
ここからは有名ショップを紹介いたしますね。
ヤシオファクトリー
シルビアのチューニングと聞くと真っ先に出てくるショップといえばここではないでしょうか。
ピンク色の目立ったカラーリングのシルビアに乗った”岡ちゃん”の愛称で知られる岡村和義氏が経営するヤシオファクトリーはシルビアのチューニングが非常に得意なショップです。
もともとはラジエター屋さんでしたが、地道に実績を重ねて「シルビアといえばここ!」と呼ばれるまでになったショップという背景もあります。
そのため、ラジエーターをはじめとした冷却系チューニングを主に得意としているショップです。
所在地:埼玉県草加市青柳2-4-5
URL:https://yashiofactory.co.jp/
ヤシオのシルビアカッコ良いよなー pic.twitter.com/ba9Ohc1p6d
— ちゅーた。 (@misachan56) November 9, 2017
GPスポーツ
GPスポーツは世界最高峰のドリフト競技であるD1グランプリのトップドライバーである川畑正人選手の勤め先として知られるショップです。
得意とする車種は180SXで、エアロパーツやマフラーだけでなくドリフト向けのパーツも多くラインナップしています。
180SXでドリフトをしている(これからしたい)方は訪れてみてはいかがでしょうか。
所在地;新潟県三条市須頃3-161
URL:https://www.gpsports-gallery.com/
オートプロデュース BOSS
こちらのショップはGPスポーツ同様にD1グランプリの歴史を語る上で欠かせないショップです。
2004年シーズンの途中から2014年シーズン終了までS15シルビアで出場していたBOSSは、現代のD1マシンの礎を築いたといっても過言ではありません。
こちらのショップ、BOSSの特徴はボディメンテであると言い切ってもいいでしょう。
その裏付けとしてD1グランプリにおいてチーム体制の変化に合わせてカラーリングこそ変わっているものの、10年以上もの間同じシャシーのまま活躍を続けていたということが挙げられます。
ボディに負荷のかかる高いスピードでのドリフト走行、クラッシュしたときのボディ補修も大変だったかと思いますが、そのノウハウは素晴らしいものでしょう。
ボディ補強などの相談に最適なショップですね。
所在地:長野県長野市川合新田 1370
URL:http://www.ap-boss.com/
まとめ
シルビアにしか載っていないというイメージが強いSR20エンジンですが、蓋を開けると数多くの車種に搭載されている名エンジンということがわかりました。
シルビアに搭載されているSR20でも型式によってスペックが違いますし、NAエンジンにも楽しみ方あるので個性的な1台を造ることができます。
SR20は魅力と可能性に満ちたエンジンといえるでしょう。
トヨタ史上最強のエンジン 2JZ-GTE | スープラ以外にも搭載された車がある!
日本が誇る日産の名機RB26 | 排気量の秘密や搭載車種など全容に迫る!
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